父の死後に、消費者金融での借金が判明!相続を放棄したいんだけど…
不慮の事故で亡くなった父、年齢も高齢で年金暮らしだった。若くもなかったし、それなりにいい人生を生きたんだと、言い聞かせてみる。葬儀なども終えて、一ヵ月が立ったころ、ポストに見知らぬ業者からの請求書が届いた。どうやら、消費者金融の請求書のようだ。額面は150万円。驚いたことに、父は消費者金融で借金をしていたのだ。残す遺産もなかったけど、借金もないことだし、と安心しきっていたのに…。果たして、こんな負の遺産、子供が相続しなくてはいけないんだろうか?
通常、家族が死ぬとその血縁の濃い人に遺産が相続されます。この遺産相続には、土地・家屋・貯金などのプラスの資産もあれば、借金というマイナスの資産もあります。ですので、お金を貸している業者は利用者本人が亡くなれば、その相続人へ請求をします。上記の例でいえば、父が亡くなった時点で、借金の相続が自動的に子に引き継がれることになったのです。仮に、相続のプラス資産が、借金などのマイナス資産を上回っていた場合は、プラス資産で借金を払ってしまえばいいので、何の問題もありません。しかし、問題は資産より負債の方が多い場合です。
ここで質問です。相続放棄という制度を知っていますか?そうです、相続に際して、資産より負債の方が多い場合、相続を放棄することができる制度なのです。相続放棄は、家族の死を知った日から、3ヵ月以内に家庭裁判所に申し立てます。その際は、戸籍謄本などの書類が必要になります。一連の手続きが終わると、相続放棄を証明する書類である「相続放棄の申述受理通知書」を貰えます。消費者金融などから、催促が来た場合、この受理通知書のコピーを添付して、相続放棄の旨を、業者に伝えましょう。以降、返済の催促を免れることができます。
しかし、これで万事問題なし、と安心してはいけません。実は、相続人の誰かが相続を放棄すると、他の相続人が債務を負うことになるのです。仮に血縁の濃い第一順位の相続人が全員放棄すれば、次の順位にその権利・義務が移行するのです。この点に注意しなければ、親族間の大きなトラブルが起こります。ですので、相続放棄を申し立てる前に、親族間での話し合いを十分持つことが、重要になってくるのです。